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戦後の地方女性史を題材にした『赤朽葉家の伝説』

やっと『赤朽葉家の伝説』を読み終えました。私は小説を読み始めると止めることができないので、実用書のように細切れの時間で読まないから、取り掛かるのに時間がかかります。読み始めたら二時間半ノンストップなんですけどね。

オンライン書店ビーケーワン:赤朽葉家の伝説

鳥取県西部にある架空の「紅緑村」で捨てられた女の子「万葉」、万葉の第二子でレディースの女王となり人気少女漫画家になった「毛鞠」、毛鞠の娘で語り手の「瞳子」の三代記。それは高度成長期からオイルショックを経てバブル崩壊(そう、田舎にバブルそのものはほとんど関係なかった)に至り、「夢も希望もなくただ東京のことを押し付けられた地方」を描いています……とはいえ、第三部が失速してしまっていたのが残念無念。

第一部・第二部は赤朽葉家の家付き娘として「つまらない人生」を送っている瞳子の視点で、不可思議な能力を持ち赤朽葉の家に乞われて嫁に行った祖母や、波乱万丈の人生をフルスロットルで駆け抜けた母に対する羨望の眼差しが感じられます。ただそんな瞳子ですら非モテが知ったら卒倒するような「甘い青春」をおくってるわけで。足ることを知ってくれよ、と老婆心ながら思います。(著者の計算どおりでしょうけど)

鳥取県出身者としては、舞台となる紅緑村が「架空の鳥取県西部」だと割り切ることに時間がかかってしまいました。「上の製鉄業・下の造船業」ってどんな広い村なんだか想像しずらかったとか、鳥取県西部からだと医学部以外の鳥取大学への自宅通学は無理なのに鳥大で四年制の学部に入った毛鞠の兄がアパートを借りた様子がないとか。

そんな細かいところがいちいち気になってしまうぐらい面白かった、っていうことですけどね。

赤朽葉家の伝説
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