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2010年のノーベル賞自然科学系

今年のノーベル賞のうち、自然科学系の三賞が発表されました。

まず、ノーベル医学・生理学賞。iPS細胞がらみが取るんじゃないかとの下馬評(って、ここ数年は毎年だ)に反し、「体外受精技術の開発」の功績で、世界初の試験管ベビーを誕生させたイギリスのロバート・エドワーズ名誉教授が受賞しました。

iPS細胞だのクローン技術だのよりも前に、体外受精の功績に賞を出してない、ということからの受賞かもしれません。あるいは、誕生当時大反発を受けた試験管ベビーの技術が今や世界中に広まり、賞を出してもそれほど反発は起きない、と選考委員会が判断したのかもしれません。もちろんバチカンは予想通りの反応でした。

続いてノーベル物理学賞。炭素の一原子分の厚さのシートであるグラフェンの分離に成功したアンドレ・ガイム教授とコンスタンチン・ノボセロフ教授の二人。二人ともロシア出身で、ガイム教授はオランダ市民権、ノボセロフ教授はロシアとイギリス二重市民権を取得しています。

化学賞じゃなくて物理学賞なの? と思ったら、グラフェンは物理学の研究で非常に有用な材料なんだそうです。医学・生理学賞も化学賞も1970年代の成果なのに、グラフェン分離は今世紀に入ってから。ノボセロフ教授はまだ36歳だよ、若っ。カーボンナノチューブの研究でノーベル賞を取れるのはかなり先になりそうです。

ガイム教授は2000年に「カエルと力士を浮揚させるための磁石の使用」に対して、イグ・ノーベル物理学賞を受賞しています。

そしてノーベル化学賞は、「パラジウム触媒を用いたクロスカップリング有機合成」でリチャード・ヘック名誉教授、根岸英一特別教授、鈴木章名誉教授の三人が受賞しました。私のTwitterタイムラインは「カップリング」に反応する人が多すぎです。ホモカップリングじゃなくてクロスカップリングだからね。

スラッシュドット・ジャパンの書き込みを見てると、カップリング反応はいろいろあって、その中でも誰を受賞させるか、というあたりにいろいろ思うところがあるみたい。ヘック名誉教授の先行研究として溝呂木勉氏が報告していたが若くして亡くなられていたとか、残念ながら鈴木名誉教授の共同研究者である宮浦憲夫特任教授が選に漏れてしまったとか、「××カップリング」の××先生は? みたいなのが。賞を授けるのは難しいものです。

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