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読んだ本: 2007年2月 Archive

2007年2月に読んだ本

今月読んだ本リストと、簡単な感想をば。今月読んだのは27冊でした。「一日一冊」にはあと1冊足りない。

『赤朽葉家の伝説』は、読了後直後に感想記事を書いてしまったぐらいはまりました。ちゃんと発売日直後に読んでいくのが正しいんだけど、積読の多さに思わずあとまわしにしてしまうんだよなあ。『僕僕先生』は感想書かなかったけど、『後宮小説』+『封神演義』+「戯言シリーズ」っぽい読後感がおもしろかったです。

先月読んだ『ビギナーズ・クラシックス 平家物語』のせいか、平家物語周辺の研究書を4冊も読んでしまいました。『義経の東アジア』は発売当初にウィッシュリストに放り込んだまま放置してたんですが、読んでみたらかなりはまりました。語り口が非常に軽く読みやすい。義経を歴史に名が残る有名人にしてくれたのは、采石磯の宋軍総帥だった虞允文だったということになるという文章を見て、「な、なんだってー?!」な気分にさせられてしまいました。著者の本業は陽明学史だとかで、義経伝説の儒学的見方なんかもあります。

読みやすさの面からは『義経の東アジア』に劣りますが、『義経の登場』も興味深い内容が多かったです。義経本人はあまり出てこないのですが、その周辺人物、特に母親である常盤御前がらみの話が中心。保元の乱で義朝が為義と袂を分ってしまったのは、常盤御前との関連で九条院近侍の後白河天皇方と親しくなったといった説も載ってます。問題は、女系とか相婿とか嫁家といったことで、家系図がぐっちゃんぐっちゃんになってしまう(そして読み手も混乱する)ことかな。公家は蜘蛛の巣とはよく言ったものです。

『平家後抄』は、「壇ノ浦は殲滅戦ではなく、六代の死で平家が断絶したのでもない。平家の女たちによって血脈は受け継がれているのだ」というのが主題。承久の乱自体、単に公家への政権復古というのではなく、後鳥羽上皇の周りの人物が親平家に囲まれていたことも重要だとの指摘。それはともかく、知恩院の事実上の開祖である源智が平師盛(清盛の長男重盛の五男)の子だとはこの本ではじめて知りました。また、対馬の宗氏の「平知盛末裔説」は意外と信憑性が高いとか。難点をいうなら、「平時政」(北条時政)といった表記がなされていて、慣れないとつらいということかな。

来月も平家物語関連書をまだまだ読みそうな気配。それよりライトノベルの積読消化をなんとかせねば。

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『爆裂聖徳太子』が微妙に人気集めてる?

爆撃聖徳太子

爆裂聖徳太子』が絶版なのは知ってたけど、最近意外と人気が出てるのね。

ほんの偶然の気の迷いで、Technoratiで爆撃聖徳太子を検索しましたら、3年前に出た本にしては妙にヒット数が多い。

気になっていろいろ調べてみましたら、どうやら『ギャグマンガ日和』のファンと『爆撃聖徳太子』のファンがかぶっている様子。震源地は不明ですが、『ギャグマンガ日和』のファンサイトではあるらしい。

『爆撃聖徳太子』は初版売り切りだったみたいで、現在Yahoo!オークションで高額(3000円以上。定価1000円ですよ)取引されてるみたい。持ってるけど面白い本だから売る気にはなれません。

内容は、なにかの波動を受信しているかのような聖徳太子と、聖徳太子に振り回される苦労性の小野妹子というコンビが、隋に喧嘩を売ったあげく気球で爆撃を行う、というストーリー。恐ろしいことにごくごくまともな話、聖徳太子が出なければ。出てきたとたんにしっちゃかめっちゃかわけわからん展開になってしまうのです。しかもその「わけわからん展開」にもちゃんと理由があるという。

ただいま復刊ドットコムで『爆撃聖徳太子』の復刊リクエスト投票中です。もう少し票が伸びないと交渉始まらないので、伸びてほしいです。

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戦後の地方女性史を題材にした『赤朽葉家の伝説』

やっと『赤朽葉家の伝説』を読み終えました。私は小説を読み始めると止めることができないので、実用書のように細切れの時間で読まないから、取り掛かるのに時間がかかります。読み始めたら二時間半ノンストップなんですけどね。

オンライン書店ビーケーワン:赤朽葉家の伝説

鳥取県西部にある架空の「紅緑村」で捨てられた女の子「万葉」、万葉の第二子でレディースの女王となり人気少女漫画家になった「毛鞠」、毛鞠の娘で語り手の「瞳子」の三代記。それは高度成長期からオイルショックを経てバブル崩壊(そう、田舎にバブルそのものはほとんど関係なかった)に至り、「夢も希望もなくただ東京のことを押し付けられた地方」を描いています……とはいえ、第三部が失速してしまっていたのが残念無念。

第一部・第二部は赤朽葉家の家付き娘として「つまらない人生」を送っている瞳子の視点で、不可思議な能力を持ち赤朽葉の家に乞われて嫁に行った祖母や、波乱万丈の人生をフルスロットルで駆け抜けた母に対する羨望の眼差しが感じられます。ただそんな瞳子ですら非モテが知ったら卒倒するような「甘い青春」をおくってるわけで。足ることを知ってくれよ、と老婆心ながら思います。(著者の計算どおりでしょうけど)

鳥取県出身者としては、舞台となる紅緑村が「架空の鳥取県西部」だと割り切ることに時間がかかってしまいました。「上の製鉄業・下の造船業」ってどんな広い村なんだか想像しずらかったとか、鳥取県西部からだと医学部以外の鳥取大学への自宅通学は無理なのに鳥大で四年制の学部に入った毛鞠の兄がアパートを借りた様子がないとか。

そんな細かいところがいちいち気になってしまうぐらい面白かった、っていうことですけどね。

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